《MUMEI》
SMホテル 5
千香は天井から吊るされた。吊るすといっても、両脚は床についている。でも、全裸のまま両腕をピンと真っすぐ上に伸ばされて、両手首を拘束されている状態は、何だか落ち着かない。両足は縛られていないが、ほとんど無抵抗だ。

「千香。素っ裸にされて吊るされる気分はどうだ?」

「どうって?」

「昔はくノ一も、捕まっちまったら、真っ裸にひん剥かれて、吊るされて、百叩きの刑とかで拷問されたんだろうな」

千香は、刑事ドラマで見たプロファイリングを思い出し、友好的に会話した。

「小田切さん、そういうの好きなんですか?」

「好きだな。Sだからな。千香はくノ一だったら、どうする? こういう状態にされたら」

彼女は身じろぎする。小田切は美しい裸体に見とれると、腰やおなかを触った。

「それにしても千香。いい体してるな。本当に魅力的だよ。こんなかわいいくノ一は、無事じゃ済まないだろうな」

「やめて」

「哀願しちゃうか?」

「たぶん」

千香がSMプレイに乗ってきたので、小田切は調子づいた。

「千香。裸で無抵抗の状態で、くすぐりの刑に遭わされたらどうする?」

「やめて」千香は本気で慌てた。「くすぐりはやめて。やられるほうは苦しいだけだから。息できないから、ホントに」

「そうなんだ」

小田切は歩み寄ると、千香のがら空きの両脇をくすぐりまくる。

「やあああ・・・やめて・・・キャハハははははひあはははははっひははははははははは・・・」

「かわいい・・・コチョコチョコチョコチョコチョ」

「はややははは・・・やめて・・・やめて・・・」

やめてくれた。

「はあ、はあ、はあ・・・」

「千香。おまえみたいな美人チャンがスッポンポンで無抵抗にされたら、間違いなくいじめられちゃうぞ」

「やめて」

「やめてって哀願しているのに意地悪されると興奮するだろ?」

「しません」

即答する千香に小田切はほくそ笑むと、壁に掛けてあった鞭を持ってきた。千香は目を丸くすると、腰が引ける。

「それはやめて、それは許して」

「どうやら痛い目に遭わないとわからないタイプらしいな」

「何で? 何か気に障ること言いましたか?」

弱気な千香がかわいい。小田切は完全に興奮状態で止まらない。

「脚を開け」

「待って」

「股を開けって言ってるんだぞ。この状況で不良少年を呼ばれたいか?」

「わかったやめて」

恐ろしいことを言う。全裸で無抵抗の状態で不良少年に囲まれたら怖くて泣いてしまう。単なる脅しだとは思うものの、本当に呼ばれたら困るので、千香は素直に脚を開いた。

「よし。千香。歯を食いしばれ」

「ヤダ、やめて」

小田切は、千香の股を鞭で打った。

「あん!」

「誰が閉じていいって言った?」

「やめて」千香は仕方なく脚を開く。

「悔しいか?」と鞭を打つ。

「あん!」

今度は連打だ。股とおなかとお尻に鞭を打ちつける。

「あん! あん! あん!」

「どうだ? くノ一の気分になれたか?」

「やめて」

「今心の中で変態って罵っただろう?」

「まさか」

小田切は、千香のおなかやお尻を触ると、わざとらしく迫る。

「千香。鞭打ちは許してほしいか?」

「許して」

「かわいいな」

小田切は鞭を壁に戻すと、爽やかな顔でいきなり言った。

「千香。惚れた。オレと結婚して」

「え?」彼女は本気で焦った。

「今の旦那と別れてオレと結婚して」

何を言い出すのか。千香は真顔で答える。

「まずほどいてください。裸で無抵抗の状態でプロポーズって、ちょっと、ズルいと思いませんか?」

「それが答えか。わかったよ。ものの見事にふられたな」

それは仕方ない。今の夫と離婚する理由がない。

「じゃあ、千香とはさよならだな。ふられちゃしょうがねえ」

小田切はノートパソコンを千香の目の前に置き、操作を始めた。

「何をしているんですか?」

「千香のその美しい裸体をネットで生中継してあげる」

千香は蒼白になると、震える声で哀願した。

「小田切さん、それだけはやめて、お願い、それだけは許して」

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