《MUMEI》

気付くと目の前に壁があった、ガツン、衝撃、横に見える友人の驚いた顔、額に流れる生ぬるい液体。

「ちょ、何してんの!なんか気ィ触った!?」

驚いた友人に肩を揺すられる。

「‥‥ちげぇよ」

壁にぶつけた頭の痛みが鮮烈に俺の神経を覚醒させていく、ひさびさにすがすがしい。目がばっちり開いたような気がした。

「血!血でてるよ!」

「晴香と仲直りしてくるわ」

「何急に」

「ありがとな」

まぁいいけどね、と小さく笑う友人にうなずいて、俺は携帯をひっつかんだ。

携帯を鳴らして数コール、出ない。

剥き出しになった俺の足の骨をしゃぶる12日目と目があった気がした。
ニヤリ、恐ろしいほど辛い日々は終わることを知らず、俺はまだ暗い闇底に取り残されたままだった。

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