《MUMEI》
長蛇の13日目
久々にバイトに行く。
今まで一度も無断欠勤したことがなかったせいか、2日も勝手に休んだにも関わらずモンローな店長は怒るどころか逆に俺を心配していた。

「身体の調子でも悪かったの」
「え、と、まぁそんなトコです」
「ふーん‥‥気ィつけなね、目にクマできてるわよ」
「や、あんま寝れないだけなんで」

鉢植えに水をやりながら交わす会話の中でも、俺はぼんやりしていた。

昨日あれから何度電話をかけたかわからない、留守電だっていくつも残した。
しかし、結局俺は彼女と連絡がとれないままだった。
電源を切っているわけではない、と思う。
電話に出れないのか、あるいは、

「岩崎!」

モンローに肩を揺さ振られてハッと気付く。ラナンキュラスの鉢植えが水で溢れていた。

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