《MUMEI》
神名の憂鬱。
新斗に説教され、僕は一応反省した。
確かに新斗一人に任せすぎていたと思える。
だから今度こそ部員らしく、ちゃんとしようと思い始めてた。
うんまぁ………でも、それは明日からにしよう。
昨日は家に帰ってすぐに寝てしまった。
嗚呼、今日も新斗に説教されるのかと思うと、とても憂鬱だ………。
授業が終わり、帰りのホームルームも終わった。
怒濤の速さだった。
「神名ー、これから遊びに行かへん?」
珍しく緋門善吉が遊びに誘ってくる。
僕が部活を始めた頃とほぼ同時期に善吉は野球部に入部した。
帰りに話し相手がいなくなって寂しかった………、と本人の口から言っていた。清々しく素直であった。
あまりそう見えないのだが、善吉はその実かなり野球が上手い。今まで入部していなかったのが不思議だ。
今では人が変わったように野球に明け暮れている緋門が今日僕を誘ってくるということは、部自体が休みなのだろう。
………どうせ部活に行っても、新斗に怒られちゃうんだもんなぁ………。
OK!遊びに行こっ!と返事をしようと口を開いた瞬間、僕の机に鞄が突然落ちてきた。
その際に善吉の頭をかすった。
「おわあっ!?」
真っ正面にいた緋善吉はかすった頭を抱えながら一歩足を引いた。
見回すと、バスケのフリースローの体勢の生徒がいた。
「…………」
これは………。
「の、埜嶋!?危ないやないか!」
「ごめんなさいね。でもあなたには関係ないの。退いてくれる?似非関西人」
「なあっ!?」
似非関西人は埜嶋に抗議するが、相手にされず、善吉を物理的に退かす。
そして、僕の机の上に乗った鞄にバンッ!と手のひらを叩きつける。
「神名くん。少し話があるのだけど、いい?」
「…………一応聞いてみるけど、拒否権は」
「ないわ」
がっくりと項垂れる。
これからの事を考えると、無意識にため息を吐いた。

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