《MUMEI》

自宅の鍵を開ける、相変わらずアイツは帰っていない。
あわただしくドアをあけ、棚から携帯の充電器をばらしてつなぐ。
ぴ、生命を吹き込まれて赤々と光る小さなランプ、コンセントにつないだまま開く。
部屋の時計を見上げると午前11時56分をさしていた。アイツの親父は公務員だが、たしか母親は専業主婦だ。今なら家にいるだろう、一応知っているがほとんどかけたことのない恋人の実家の番号を表示させる。

るるる、るるる、るるガチャリ、
「‥‥もしもし。岩崎です」

『あらぁ、あつしくん?』

電話ごしの陽気で間延びした母親の声、アイツにちょっと似ている。

『久しぶりねぇ、たまには遊びに来てくれればいいのに』

「どうも‥‥で、あの、晴香は、」

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