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《MUMEI》 ｢あつし｣ 声をかけられ振り返る。ここ数日で一気に親しくなった友人がそこにいた。 ｢なに天下の往来でうつむいてんのー怪しすぎだろ。何か楽しそうだね、晴香ちゃん見つかった？｣ 口調とは裏腹に心配そうな声、いつも軽くてチャラい男が心配していた。 俺は首を振る。 ｢お前こそ何してんの｣ ｢俺は大学に用事。つーかさ、そろそろ本気でヤバめでない？家とか電話してみた？｣ 俺もちょいちょい携帯かけてみてんだけど、と友人は眉を曇らせながら言う、俺が実家にも帰ってないらしいことを告げるとさらに不安顔になった。 ｢本気でヤバいじゃんソレ｣ ｢‥‥だよな｣ ｢だよ｣ ｢お前なんか心当たりねぇか？｣ ｢彼氏も知らない心当たりなんてねぇよ‥‥あ、晴香ちゃんの友達とかに詳しく聞いてみたら？｣ ｢‥‥番号とかわかるか？｣ ｢や、つか直接行ったほうが早い。ちょうど学校終わる時間だし｣ 時計を見ると午前３時半をさしていた。 前へ |次へ |
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