《MUMEI》

   〜麗羅視点〜


他の誰かに・・・?


何で歩には

分かってしまうんだろう・・・?


今まで分かってくれる人なんて

居なかった。


分かってくれようとする人も

居なかった・・・。


私は口を開く。


『歩と・・・』


歩は、私の目を見て優しく頷く。


なんとなく

それが心地よかった。


この人なら

今までの悲しみ全て

受け止めてくれるんじゃないのか

って思えた。


『・・・歩と





お父さん・・・・・。』


言ってしまった。


もう後戻りはできない。


歩は、私の言葉を

聞いて少し驚いた顔をした後に



私をギュッと抱きしめた。


「辛かったね・・・。」


歩から伝わってくる暖かさと


歩の言葉から


また涙がポタポタと

流れ出る。


しかし、その流れ出る涙は


歩の制服の中に

吸い込まれていった。



まるで歩が

私の涙を

受け止めてくれているかのように。


1粒また1粒と


全ての涙を


歩は、受け止めてくれた。

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