《MUMEI》

「こうやって一緒にお茶をするのも久しぶりだな」


「うん」


僕は紅茶をすすり、グレーのパーカーを脱いだ。


拓海は僕が幼い頃からの友達だ。


仲が悪い訳ではないが、仲がいい訳でもなかった。


ただただ、無口で暗い雰囲気の男の子だなぁ、と感じていただけだった。


なんやかんや言って拓海とは中学も高校も一緒で、たまに一言二言交わしたり、時にはカフェに行くこともあった。


「拓海はいつもコーヒーだね」


「そういうお前だって紅茶じゃねーか」


拓海はコーヒーの付いた舌で口周りを舐めた。


僕は紅茶のカップを置き、時計を探した。


その時。

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