《MUMEI》
暗殺者達の鎮魂歌
「fat!どんな任務だった!」
グループ部屋に入った瞬間、中からすさまじい勢いでナイフと共に怒鳴り声が飛んできた。
「nylon(ナイロン)、少しは落ち着いて。ただの暗殺任務だから」
nylonと呼ばれた男は、どっかりと椅子に腰を沈める。
「なんでお前ばっかなんだよ〜」
「仕方ないでしょ、fatは有能なんだから」
nylonの後ろに音もなく現れた、ブロンドの美女は
「blond(ブロンド)、久しぶり」
髪の色から名前を取った、同僚がいた。
「それで、誰を暗殺するの」
「ハルミグループ会長、晴海 直也」
その名前を言った瞬間、nylonの目が殺気だった。blondは、眉間に皺を寄せている。
「でかいわね」
「ミスんじゃねえぞ!さもないと、俺が殺す!」
「するわけないでしょう」
ため息をついて、腰かける。ふと目に留まった貼り紙を見つめる。
「blond、これ」
「ああ、それ?」
貼り紙には、‘近々新メンバーが来る’と書いてあった。
「なんかね、凄腕らしいわ。ほら、先月田中グループの社長が死んだでしょう。あれは、この人が殺ったらしいわ」
「へぇ〜」
あまり興味が湧かない。例え千人殺した暗殺者が来ても、自分は自分だ。
「そろそろ行ってくる」
相棒の銃をホルスターに納めると、グループ部屋を出る。後ろからは、歌が聞こえる。暗殺者が出かけるときは、何か必ず歌を流すしきたりになっているのだ。
(今日は、アリアか…)
アリアを聴きながら、fatは足を踏み出した。

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