《MUMEI》 焼き切れる。逃げ出した僕と千雨。 ちなみに僕は上半身裸というヤバい格好のまま。 とりあえず僕と千雨は部室棟の使われていない部屋に駆け込んだ。鍵は何故かかかっていなかった。 どさりと隣合わせに床に座り込む。 「はぁ、はぁ。あーこれどうしよ」 なぜこうなった。今考えても不思議だ。 「先輩?大丈夫ですか?」 突然話しかけられたことで動悸が早くなる。いや違う。最初からだ。 あの媚薬の効果が残っているようで、体が焼けるほど熱い。 「晴斗先輩が私を選んでくれて、流れに身を任せずにちゃんと断ってくれて、嬉しかったです」 息はどんどん荒くなっていくばかり。汗も出てる。これは、普通じゃない。 「八雲ちゃんは友達だけど、やっぱり晴斗先輩だけは渡したくない」 隣に座る千雨の足、股、腕、胸、唇を凝視してしまい、生唾を飲む。マズイと思い、視線を反らすがそこにあったものは。 「私を愛してくれていて、ありがとうございます。私も晴斗先輩のことを愛してます」 そこにあったものは、かなり際どいページで開いている、エロい本。 恐らくここは男子生徒のたまり場。今はまだどこも部活が終わっていないようで、誰もいなかったのかもしれない。 千雨の言葉はまったく頭に入らず、たったこれだけのきっかけで、僕の理性は焼き切れた。 「千雨っ!」 かばっ、と覆い被さり、キスとともに胸を揉みほぐす。 「なっ、晴斗先輩………!?」 悲鳴にも近い声。この声すらも、僕の耳には届かない。 もう女体のことしか、頭にはなかった。 前へ |次へ |
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