《MUMEI》

殺人者はぎゃっ!と苦鳴を上げて弾き飛ばされた。


男と自分の間に突如出現した、鉄格子によって。


「以後、お見知りおきを」


背後の変事など知らぬ顔で、男が名刺を差し出すと、勢いに押されるように彼女はそれを受け取っていた。


だが渡された長方形のカードの表面は真っ白だ。


一瞬、怪訝そうに眉をひそめながらも、じっと見つめていると、


『夢』とゆう文字がぼんやり浮かび上がり、すぐにフッと 消える。


すると今度は少し離れた場所に『狂』の字がつかの間浮かび、また消えた。


と見る間もなく、白い面のあちこちにランダムに文字が浮かんでは、消えるのを繰り返す。


『死』『見』『郎』『夢』『D』


バラバラに浮かんでは消えていた文字の羅列が、やがて意味のある文になると
白い画面の中で静止した。


「夢Diver... 夢見 狂死郎?」


「ういっ」


「そんな名前の人、いるわけないし」

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