《MUMEI》
決戦の前に
もうすぐ世界が終わるかもしれない…私は…

セリスはそんな不安を抱えながら、飛空挺の甲板で夜空を眺めていた。
最後の戦いが迫ってきて、少しずつ自分の心の奥底にあった思いが込み上げて来た。


「最初からわかってたのに、ここに来て生きる事に執着してしまったのか…」
ふっと視線を落とす。
足元に別の影が見える。影はセリスに重なった。

「風邪引くぞ」
「ロック…」
「薄着で何ぼんやりしてんだよ、幽霊かと思った」
そう言って、ロックはジャケットをセリスにかけて、肩に手をおいた。
「ありがとう、ロック」
「…薄着はダメだぞ、野郎ばっかりだから」
「…ばか(笑)」
セリスはロックを小突いた。けれどロックは彼女をじっと見つめていた。
「…」
セリスの蒼い瞳も見つめ返す。その視界は一瞬ふさがれた。唇がそっと重なって、そのままセリスを抱きしめた。

「ロック…?」
セリスは不意をつかれてどきまぎしていた、ロックはそのまま彼女をを抱きしめ、セリスはそのまま立ち尽くした。
「俺はいつも一緒にいるよ」
「……」
「お前が最近、元気なかったからさ、何か悩んでるんだろ?」

「…そんなことないわ、ただ疲れがたまってるだけだから」
「……ケフカを倒したら、一緒に旅をしよう?色んな土地を巡って…俺のお気に入りの場所も案内するよ…」
「そうね…」
そう言ってセリスは微笑んだ。けれどその瞳は影を落としたままだった。

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