《MUMEI》
平和な国
この国は平和だ。



…そう思っていた。



地下を見るまでは。



























俺の名前はハル。
俺には記憶がない。


目が覚めた場所はここからずいぶん離れた森の奥。
覚えているのは自分の名前だけだった。
体は傷だらけ。
持っているものは上着のポケットに入っていたライターと差出人のわからない手紙。というか、メモだ。

メモにはこう書いてあった。










多くの命を守るため、私は石になるのです。








さっぱり意味がわからないが、自分の記憶の手がかりになるのではと思い、大事にとっておくことにしている。
ライターは安物だ。
たぶん記憶とはなにも関係ないのだろうが、何かと使えるだろうと思い、まだポケットの中にある。




今いるこの町、リングロード。
近くの鉱山での採掘で採った原石から宝石を作ることで発展した町だ。
治安もよく、小さいけれど平和な町だ。




このリングロードにたどり着くまでの話をしよう。



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