《MUMEI》

人はパニック状態に陥ると訳のわからない行動を起こすというのは客観的に事実である、ということを僕は今まざまざと実感していた。

テレビをつける、消す、つける、消す。猫なで声で笑うハタチにもならないアイドルもどきの女や、したり顔で料理を批評する評論家気取りの男が、現れては消え、消えては現れる。
僕の今の一連の行動は客観的どころか主観的にもわけのわからないものであり、つまり僕は相当なパニックに陥っていた。

落ち着け、落ち着け僕。
改めて現状を分析しろ。

僕の名前は?
‥‥吉田太一。
年齢は?
‥‥17才。
職業は?
‥‥もう半年も学校に行ってない不登校の高校2年生。
ここはどこか?
‥‥唯一の居場所である僕の部屋。

オーケー、ここまでは間違ってない。
ではここで、現在最も重要かつ最大の疑問だ。

僕は何故今このようなパニックに陥っているのか?

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