《MUMEI》 結論。 これは幻覚だ。 僕は三度前を向く、もはや全くあたまに入ってこないTVをつけたり消したり。 「だからつけたり消したりしないでって言ってるでしょ」 「うるさい幻覚だな、無視しろ自分」 「幻覚じゃないわよ」 僕はTVを付けたまま静止し、もう一度幻覚女を見た。 「‥‥最近の幻覚は会話もできるのかな」 「幻覚じゃないってば」 さらに幻覚女がしゃべる。 「それともあなたは幻覚を見るような病気の持ち主なわけ?」 「ちがうよ、少なくとも僕は精神科への通院歴はないし、病んでもいない」 「そして、麻薬やシンナーなんかもしていないわけでしょう?」 「犯罪に手を染めた覚えはないね。つまり僕は引きこもりだし、他人に接触する機会もないわけだから」 「じゃぁ幻覚という可能性も否定されるんじゃなくって?」 前へ |次へ |
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