《MUMEI》

はじめて見たときよりも驚きや恐怖は消えていた、なにより引きこもりの僕は久々に他人と口をきいた。

「じゃぁ君は何だ?」

「ふむ。誰だ?じゃなくて何だ?という疑問は非常に率直だし、間違っていないわ。だけど、自分で考えるということは大切よ」

「幻覚じゃないとすれば‥‥」

僕はTVから向き直り奇妙な女をしげしげとながめた。
白くて長いワンピース、質素な作りのドレスが派手な彼女の風貌に不釣り合いだった。

「幽霊?」

白いワンピースから連想しただけの安直な答えだが、状況から察するにその答えはほぼ正解じゃないだろうか。そう思うと同時に、幽霊としゃべっていると思うと怖気がした。

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