《MUMEI》

「うう〜……お腹痛い」
情けない声を出しながらセレティロはお腹を擦っていた。
昨日肉を食べ過ぎたのがいけなかったのか、それとも緊張のせいなのか、今のセレティロにはどうでもいいことだった。
とりあえず、早くこの式典が終わってほしい。それだけだ。
「セレティロ・バイハナレキ」
「は、はいっ!」
名前を呼ばれ慌てて返事をすると声が裏返ってしまった。
羞恥のあまり顔が熱くなる。
いそいそと魔法院長、ミオビース・クオマネの前にたち深々と一礼をした。
「本日よりセレティロ・バイハナレキを王宮魔法士に任命する」
「ありがたきお言葉。これよりセレティロ・バイハナレキは王宮魔法士として頑張ります」
家で何度も練習した言葉を噛みそうになりながら言いきる。
王宮魔法士だということを証明できるネックレスをつけてもらい、自分の場所にもどった。
「ふはぁー…緊張したぁ」
「あなたは必要以上に緊張しすぎなのよ」
隣にたっていたマリーネ・クオマナが小さな声で淡々と言い放った。
彼女の首からもセレティロと同じネックレスが掛かっている。
そんなこと言われても、と返そうとしたが魔法院長が喋り始めたので言いそびれてしまった。
「次は魔線修繕士の任命に移ります」

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