《MUMEI》

王宮魔法士のネックレスは太陽を表す金色。
それに比べて魔線修繕士は月を表す銀色。
つまり、王宮魔法士は国、人々を照らし、魔線修繕士は国の暗い部分を見ていかないといけない、とエルサーディルは考えた。
表では魔線修繕士として働くが、裏の仕事の任務も受けないといけないだろう。


  *****************  


「いいなぁ〜マリーネわぁ。専属魔線修繕士が従兄弟だなんて」
「まだそんなこと言ってるの?もう決まったことはどうにもならないわ」
セレティロがつっかかってくるのを冷たく突き放すマリーネ。
この二人は元々ライバル同士だった。
結果的にセレティロのほうが魔法の才能があったが。
もとライバルだったからこそ、今は親友と呼べる仲になったのかもしれない。
「あなた、ビロネックロ卿との接点はないの?」
「ない!赤の他人!初対面!」
「へぇ、そうなの。じゃあ挨拶してきたら?」
「普通はむこうから挨拶するのが礼儀じゃない!?」
プライドの高いセレティロは上司である自分から挨拶をするのかわ気にくわないらしい。
「とりあえず会いに行ってみたら?あ、ほら。今ちょうど出ていってるわよ」
マリーネが指差した方向にはここを出ていこうとするエルサーディルの姿があった。

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