《MUMEI》 「あの方はあれでがんばっているわ。どうにかして海の生命を守ろうと必死なの」 僕は頷いた。あまりに醜く、可哀想な神様だ。 「驚いているようだけど、もっと酷い神様がいるわよ」 今度はパソコンの神が逆方向を指差す。そこには海の神様と同等かそれ以上に痩身の、ハゲ頭の老人が座っていた。 「あれは誰だ?ハゲの神様」 「あなたノーロープバンジーの刑決定ね。あれがあなたのご所望の樹の神様よ」 僕は正直に驚いた顔をした。 樹の神様といえば、長い髭をたくわえたいかにも裕福そうな老人か、はたまた優しそうな美女をイメージしていたのだが。 指指される方向に座っている老人は、それらのイメージとは程遠く、つるつるしていた。 樹の神というよりも植物人間といったほうが正しそうだった。 「あの人も昔はダンディーなおじさまだったのよ。髭も髪の豊かだったし。だけど、やはり人間の伐採のせいでああなってしまったというわけ」 「勉強になるね」 前へ |次へ |
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