《MUMEI》
麗羅の過去
   〜歩視点〜


くっそ〜。

せっかく2人きりだと思ったのに・・・。


でも、海と栄実がいて

良かったかも。


2人だったら


この重い空気に

耐えられなかったかもしれない・・・。


少し無理やり

頼んだからな・・・。


やっぱり言いたくないよな・・・・・。


辛い過去の話なんて。


でも多分、今日このチャンスを

逃してしまったら


もう聞くことは出来ないだろう。


そう思うと


俺の中で、やっと


麗羅チャンの辛い過去を聞く覚悟が


ちゃんと出来た気がした。



その時、ナイスタイミングで

麗羅チャンが口を開いた。


『聞いて欲しい話って言うのは

私の過去の話。』


栄実と海に

これから話すことを述べる。


2人は、真剣な顔をして


麗羅チャンを見つめている。


『私ね、昔は普通に

笑ってたし

幸せそうなお父さんとお母さんを見て

私も、幸せな結婚したいって


思ってた・・・。


無口だけど

心は、暖かいお父さんと

いつも優しいお母さんに囲まれて


本当に幸せだった。



でも・・・、私が3歳の時に


お父さん・・・・・


事故でいなくなっちゃったの・・・。


すっごく辛くて


泣きたかった。


でも泣き崩れるお母さんを見ると


私がしっかりしないとって思ったから


泣かなかった。


お母さんは、お父さんが居なくなってから


あんまりご飯食べなくなって


どんどん痩せていった・・・


私が何を言っても


上の空だった。


生きてるけど


・・・・・死んでるみたいだった。』


麗羅チャンは、一旦そこで

言葉を切り


ギュッと唇を噛みしめた。

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