《MUMEI》

「そりゃあね。昔はすごく素朴な人だったんだけど。今は大企業なんかが大きな機械を作って大量生産してるでしょう?だから苦労もなくなったのね」

宝石の神様は僕たちにきづかずに、またどこかへ行ってしまった。スリランカかどこかで子供たちを守っているのかもしれないな、と僕は思った。

さらに歩いていくと今度は美しい女性に出会った。
亜麻色の長い髪に豊かな身体、鼻梁の通った美貌だった。
もの静かに座っており、気品が漂っている。まさに女神のイメージそのものだった。

「あれは誰だろう」

「音楽の神様よ」

音楽の神様は僕たちに気づき、近寄ってきた。彼女の動きにあわせて綺麗な髪と乳房が揺れる。

「は、はじめまして」

「はじめまして。あなたは何の神様でいらっしゃるの?」

声と物腰まで上品だった。
もし人間の世界にいたら絶対にモテるだろうな、という感じだ。さすがに音楽の神様だけのことはある。

「あ、えっと、僕は人間です」

どもりながらも一応答える。
すると音楽の神の上品な笑みをたたえていた唇がつりあがった。

「はァ?人間!?話しかけて損したぜ、死ね!この糞ブタ!!」

音楽の神は亜麻色の髪を掻き揚げてどこかへ行ってしまった。

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