《MUMEI》 フラッシュバック。考えたところで答えがわかるわけはなく、とりあえず僕は学校へ向かった。 緋門善吉の偽者という線も十分考えられる為、慎重に後ろから尾行する。 まぁ善吉に成り済ました所で、メリットがあるのかわからないけど。 学校にはみんながいる。 みんなで話し合えば、解決しない問題などないのだ。 人知れず誇らしげに胸を張った瞬間、頭に激痛が走る。 泣き叫ぶ新斗の光景が過った。 「な………っ、これは、記憶…………?」 謎のフラッシュバック。 その光景に見覚えがないはずなのに、胸がざわめく。 右手で頭を抑え、記憶を探っていくが、やはり記憶にない。 なんなんだ、これは。 いつもの風景が、違うように見える。 僕だけが、世界から取り残されているように感じる。 季節は冬だというのに、頬から汗が流れる。 いてもたってもいられず、歩みの足を早めた。 前へ |次へ |
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