《MUMEI》

「平和の神様なんてんもいるんだね」

「いるわよ。戦争の神様だっているしね」

「怖いな」

核の神様があんななのだから、戦争の神様なんてきっと鬼のように凶暴なヤツに違いない。
そんなふうに考えていると、背後でひときわ荒々しい声が聞こえた。

「ただいまイラクから帰ってきたぞ!」

野太い声、あらあらしい口調。
振り返ると髭面の大男が大きな声をあげながら、座り込むところだった。途端に周りの神々が場所をあけ、何人かの神々は大男の肩や足をマッサージしている。

きっとアレが戦争の神なんだろう。
動作や口調は荒々しく、汗と血と硝煙の匂いが少し離れた僕のところまで届いてきていた。
白い服も、先ほどの宝石の神以上に汚れており、ところどころにべっとりと血糊がついていた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫