《MUMEI》 「平和の神様なんてんもいるんだね」 「いるわよ。戦争の神様だっているしね」 「怖いな」 核の神様があんななのだから、戦争の神様なんてきっと鬼のように凶暴なヤツに違いない。 そんなふうに考えていると、背後でひときわ荒々しい声が聞こえた。 「ただいまイラクから帰ってきたぞ!」 野太い声、あらあらしい口調。 振り返ると髭面の大男が大きな声をあげながら、座り込むところだった。途端に周りの神々が場所をあけ、何人かの神々は大男の肩や足をマッサージしている。 きっとアレが戦争の神なんだろう。 動作や口調は荒々しく、汗と血と硝煙の匂いが少し離れた僕のところまで届いてきていた。 白い服も、先ほどの宝石の神以上に汚れており、ところどころにべっとりと血糊がついていた。 前へ |次へ |
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