《MUMEI》

「ねぇ、あなたたち人間は私たちのことを恐れたり、崇めたりしているけれど、私たちにとっては人間のほうが怖いのよ。海の神様や樹の神様をあそこまで衰弱させ、平和の神様をあんなに変えてしまって。その傍らで核の神様や、毒ガスの神様なんかを一生懸命生産して。まったく下らないわ。本当に怖いの。私だっていつかポケベルの神様のように廃れてしまう。死んでいった神様だってたくさんいるの。あなたたち人間は神様を生むことも殺すことも出来る。それって、本当に怖いことだと思わない?」

「そうだね」

「あなたは無神論者だといっていたけど、もう一度神様がなんたるかを考え直してみるといいわ。そうすればTVをつけたり消したりもできなくなるんじゃないかしら。TVの神様だって、いつも人間がTVを付けっぱなしにするもんだから、大変なのよ。電気の神様もね」

パソコンの神の姿が何故だかぐにゃぐにゃゆがんできた。

「神様の世界を覗いたあなたが何を感じて何をどうするかは自由だけど、どうかこの経験を決して忘れないでほしいわ」

ぐわぐわぐわ。
パソコンの神の声は何度も反響し、わからなくなる。
それと同時に視界がだんだんと薄暗くなり、五感がずぶずぶと沈んでいくのがわかった。

あぁコレは



夢だ。








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