《MUMEI》
あの頃の私-1
 その年の4月は、例年よりも暖かく、春の訪れも早く感じられるほどだった。
私は当時18歳で、ちょうど大学へ入る年だった。
だから今でもよく覚えている。
すべてが新鮮だった。
不安はあったが、半分浮かれていた。
中学の頃などは、大学に行くなんて考えてもいなかった。
高校は行くにしても、高卒でどこかそんなに神経を使わずにすむ職場に就職できれば良いと思っていた。
そんな、さして夢も持たない少女だった。
何にたいしても、熱中できない少女だったのだ。

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