《MUMEI》

僕は暗い夜道をせかせかと歩いていた。


(ボーダーの偉い人と話して、僕もボーダーの一員に……!)


「素質が無い」
そう言われたとき、それは僕の心に深く突き刺さった。
あの時の事を思い出す度、悔しさで心がいっぱいになった。

でも……

(素質だなんて、関係ない…!しっかりと誠意を見せればきっとボーダーに入れてもらえる!)


僕は、強くコンクリートの大地を踏みしめた。







−−その瞬間。



『ウウウウウウウゥゥゥゥン』



けたたましいサイレンと共に、上空に巨大な穴が現れた。

−−否。それは穴と言うよりも、『闇』と言った方が正しいだろう。

そして僕は、その『闇』の名を知っていた。

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