《MUMEI》
ストレスにしかならない
桐生と私が文化祭実行委員になって早1週間。


事態は悪化する一方だった。



うちのクラスは執事カフェになったのだが、服を作るところから始めなきゃいけない。第一にそれだがその他にもやらなきゃいけないことは山ほどある。


……のだが。


「うげっ!?これ全部縫うのかよ!?」


「俺家庭科の成績1なんだけど……」


「ミシン使おうぜ!……って、ああ!間違えた!」



クラスの約7割が服作りに抜擢されたにも関わらず作業は難航していた。


まさか男がこんな使えないなんて思わなかった。クラス全員家庭科の成績3以下とか嘘だろ。


大道具班はもういくつか完成しているのに服は一着も完成していない現状。かくいう私も大道具班だ。ちなみにジャンケンで負けて裁縫班になった桐生はすぐそこで撃沈している。


「橘ぁ〜……もうやだ。ミシンが全然言うこと聞いてくれない……」


「ミシンのせいにするな。それがお前の実力なんだよ。いいからさっさと作業しろ」


床にうつ伏せの状態で顔は見えないが泣きそうな面してそうな弱々しい声で愚痴をこぼした桐生に極めて冷めた口調で諭す。すると渋々作業に戻っていった。


作業していた手を一旦止めて周りを見回す。


私が指揮をとっている大道具班は今日1日でなんとか形になりそう。


一方で裁縫班はようやく一着完成間近。最低でも7、8着必要なのだが文化祭当日は来週の金曜日。


明日は土曜だから学校に来てくれるやつはあまりいないだろうし……


「はぁ……」


思わず小さなため息をついた。


男どもが使えない以上、私がなんとかするしかないか。

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