《MUMEI》

どれぐらい進んだだろうか。鬱蒼とした森をもう少しで抜ける、そんな時だった。前方から悲鳴が聞こえる。ルシアたちより先行している生徒はたくさんおり、その中の数人のものだろう。

「!!?…急ぐぞ!」

ラフェルの一言でルシアとカノンは速度を速める。森を抜け開けた草原に出たところで悲鳴の理由がわかった。


赤い鱗を持つ火竜が生徒たちを見下ろしていた。大きな翼に強靭な爪を持つ前足。口からは火が見え隠れしている。上級に分類される翼火竜というモンスターだ。

「アイスナイト!」

ラフェルの喚びかけにより門が開き吹雪を纏う騎士が飛び出してきた。中級ながら攻撃力は上級にも引けを取らない。

「キノーノコ!」

カノンが出したのは下級ながら妨害ができるキノーノコ。他の生徒も召喚を開始する中、ルシアも召喚をする。

「黒片翼アルギエル、お願い。」

一段と大きい門が現れアルギエルが出てくる。黒い魔力の塊である球体を両手に掲げている。

一同が唖然とする中、アルギエル本人は気にする様子もなく魔力の球体をゼロ距離で叩き込むつもりなのだろう。どんどん距離を詰めていった。






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