《MUMEI》

火竜もアルギエルの接近を簡単には許すはずもなく、炎のブレスで牽制してくる。

「キノーノコ!麻痺粉!」

キノーノコが勢いよく飛び出して黄色い粉を撒き散らし、火竜の気を逸らす。アイスナイトや他の生徒が喚び出した召喚獣も四方八方から攻撃を開始してアルギエルが攻撃できる隙をつくる。

「ぜってー倒す!」

アルギエルがゼロ距離にまで詰めて最大限の魔力を叩き込む。追撃するように他の召喚獣による攻撃が当たり、火竜が横たわる。



「ルシアすげー!いつの間に最上級を!?」
「ルシアくん凄い!」

生徒がわいわいとルシアやアルギエルのまわりに集まる。

「ルシア、さすがだな!」

ラフェルがにっこりと笑ってルシアの手をとり、ブンブンと振る。全力握手である。

「ところでルシア。あれは?」

ルシアの背後を見てラフェルが首を傾げる。ルシアもそれにならい振り返ると、そこにはセルエルがいた。自分の魔力を使い自力でこちらに来たようだ。

「初の実戦でしたら私を喚び出してくだされば良かったのに。」

「…えと、セルエル。2人同時はさすがにもたないよ…」

「なんと!最上級を2人も!さすがだルシア!!」

ラフェルの握手が更に加速する。不機嫌そうなセルエルをよそにアルギエルは満足そうな顔をしていた。


火竜を倒した一団は制限時間ギリギリに1日目の宿泊施設にたどり着いた。






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