《MUMEI》

2日目。
生徒たちは次の宿泊施設へ向かうべく、次々と出発していく。途中に大きな谷を流れる川があり、工夫して渡る必要があった。

「ルシア、川では苦労をかけるな…」

申し訳なさそうにうなだれるラフェル。ルシアたちはセルエルとアルギエルに運んでもらう予定だった。そのためルシアの負担は大きかった。

「大丈夫だよ。何度か同時に2人を召喚するのも試したことあるし…」

「それまでは私たちが頑張らないと!」

カノンが頑張るよー!っと気合いを入れている。2人共やる気満々のようだ。





川の流れる音が近づく。生徒たちもバラバラと見える。谷には何本か橋もあるがそれはいずれも遠回りの道だ。浮遊系のスキルを持つ召喚獣を使う生徒はすぐに渡り始める。

「セルエル、アルギエル…お願い。」

2つの門が開き、セルエルとアルギエルが姿を現す。2人のお陰ですぐに渡り終えたルシアたちだが、対岸にはまだたくさんの生徒がいた。

「2人共…」

ルシアはセルエルとアルギエルに耳打ちをした。カノンとラフェルは何がしたいか分かったようでにこりとしながら見守っている。セルエルとアルギエルは少し驚いた顔をしてから指示に従った。



2人は手分けをして対岸にいた生徒たちをこちらへと運び始める。生徒たち全員が渡り終わるとすぐに先へ急ぐ。いつの間にか大人数になっていた集団は、谷をショートカットすることができたため余裕を持ってゴールすることができた。




宿泊所ではみんなに感謝を伝えられ、カノンやラフェルからは賞賛を受けた。疲れた体を休ませようとした時だった。黒い門が開き、アルギエルが出てくる。

「少しいいか?」

アルギエルに促されるままに宿泊施設の表にあるベンチへと腰掛けた。






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