《MUMEI》
見習い召喚士と想いのカタチ
合宿の後数ヶ月がたった。生徒たちは各々、新たな召喚獣との契約や特訓など忙しそうにしている。


ルシアは新たな召喚獣、アインスタートとの特訓に明け暮れていた。アインスタートはあまり自らを語ろうとはせず苦戦を強いられていた。

「アインスタートさん…そろそろ戦い方教えてくれても…」

「言ってるじゃん、サイコロでドカンとやるんだよ!」

町から少し離れた場所に広い草原があり、生徒たちがよく訓練場所にしている。今はルシアとその他に数名いる程度だが普段はその倍はいる、人気の場所だ。

「さっきから船で見せた爆発の半分も出てないし…」

「あんなのここで起こしたらやばいよ!」

確かにアインスタートの言っていることは正論だ。大規模な爆発は周りの生徒にも被害が及ぶ可能性だってある。しかし、先程からのものは飛行船で見せた爆発とは明らかに違う、割れ損ないの様な爆発だ。

「それにボクは最上級の中では最弱って言われてんだよ。セルエルやアルギエルの様な火力はボクにはないのさ」

にこりと笑いかけるアインスタートはどこか寂しそうな顔をしていた。





顔からベッドに倒れ、ため息をつく。

「ルシアには迷惑をかけてばかりだ…」

ラフェルもまた悩める1人だ。天井を見上げ手を伸ばす。届かない、届くはずのない天井にまた虚しくなる。

「やはり俺は『できそこないの末弟〈ラフェル〉』なのだろうか…」






「ルシアくんやラフェルくんに負けられない…わたしにだって何かできるはず!」

カノンは何度も何度も門に祈る。誰もこない町の外れ、1人だけでずっと祈り続ける。




それぞれの想いが交錯するとき、新たな力が生まれる。




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