《MUMEI》
関係
「好きです。付き合ってください!」
掃除の当番で裏庭のゴミ置き場に来たときのこと 優太が告白されてるところを見てしまった。あっちは俺に気づいていない (ヤバッ。なんてとこ見てんだよ!俺。)
チクッと胸が痛んだ。
今まで、優太が多くの女子に告られていたことは知っていた。けど、ナマで見るのは初めて。話だけなら我慢してきたが、さすがにこれはきつい。でもきっとあいつはいつもみたいに「バンドが大事だから。」って断るそう思っていた。なのに…
「いいよ。付き合おうか」 !?
聞き間違い?嫌、でもそんな雰囲気じゃない。
優太に彼女ができた。できてしまった。
俺の頭の中は思考が停止する寸前だった。その時 「歩夢くん?こんなとこで何してるの?」
目の前に優太の顔。
「わっ。い、いやゴミ捨てに来た。」
「そっか。あっ。今日ミーティングだからね!」
「うん。わかった。ありがと。」
今すぐにでもさっきの女の子のことを聞きたい。でもそんなこと、聞けない。頭の中でどうしようと思っていると、
「あのね、歩夢くん。歩夢くんだけに言うね。…僕彼女できちゃった♪」 ああ。やっぱりそうなんだ。最悪な出来事に目眩を感じる。
「何でそんなこと俺に?」 「歩夢くんはお兄ちゃんみたいだから!響くんとゆづくん(ドラム担当)には内緒。言ったらひやかされちゃうでしょ?」
(お兄ちゃんみたい)その言葉は鋭く俺の胸に突き刺さった。優太にとって俺はただのお兄ちゃんなんだ…

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