《MUMEI》
本当
意味がわからない。言葉が出てこない。優太の手を離そうとする力もない.「歩夢くんごめんね。本当はずっと歩夢くんが好きなんだ。歩夢くんが僕のこと知る前から…。」
ますます言葉の出ない俺に優太は続ける。
「彼女ができたの…本当は嘘なんだ。」
固まる俺を正面に向きなおして、強く抱きしめたなんで?俺はずっと苦しかった。なのに…。俺が好きなら傷つけるようなことしないだろ?こいつ俺のことからかってんのか? いや、優太はそんなことするやつじゃない。 俺の頭の中はぐちゃぐちゃでどうすればいいか、分からなかった。するとパッと優太が手を離した 「ごめん。歩夢くんが僕のこと好きだったって言ってくれて嬉しい。けど… 好きな人出来たのは嬉しくない…。」
な、泣いてる?俺のついた嘘のせいで。自分が傷付かないための嘘で。今も好きだなんて言ったらバンドをやめるどころじゃないって思った。なのに、傷付いたのは俺じゃない。優太だ。目の前で静かに泣く優太を見てたら、なんでか俺も涙がこぼれた。
「ごめん。ごめん優太!本当は俺も優太が好き。ずっと、ずっと。ごめん。」優太の言葉に確信はなかった。さっき言ったことは全部嘘なのかもしれない。それでも考えるより先に口が動いてた。
「それ、嘘じゃない?僕、信じちゃうよ?」
「本当だよ。優太こそ全部嘘なんじゃないの?」
「そんなことない!本当に本当に歩夢くんが好き!」いきなりの展開でちょっと頭の整理は出来てないけど、嬉しいことにかわりはない。

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