《MUMEI》
見習い召喚士と王都への旅
「やっぱり楽しいねぇ〜」

アインスタートはその後、頻繁にこちらへ来るようになった。セルエルやアルギエルたちも無理矢理に門を開けて来ることもあったが、回数ははるかに多かった。

ラフェルやカノンから最上級の話を聞いた後から、アインスタートの特訓も加熱しているようだ。

「特訓はどう?順調?」

アインスタートはあれからというもの、こちらに来ていない時は殆ど特訓に費やしているらしい。

「もちろんだよ。ボクは頑張り屋さんなんだから!」

ルシアの部屋にある地球儀を猛スピードで回転させて遊んでいる。ものすごく上機嫌だ。いつも息抜きのためにこちらに来ているのだ、とアインスタートは語っていた。




突然ドアがノックされ教官が入ってきた。アインスタートは全く気にすることもなく遊んでいる。

「ルシア。君には王都に行って貰いたい。ラフェルとカノンも一緒にだ。」

教官はそのあとにこう続けた。

「王都では召喚士の派遣が相次いでいて不足中らしい。派遣隊の1つが戻ってくるまでの10日間、我が養成所から派遣することとなった。」

そして選ばれたのが養成所での養成期間に異例の最上級持ちとなったこの3人なのだと言う。

「わかりました。いつ出発なのでしょうか?」

「明日の朝、飛行船での送迎予定だ。」

王都と聞いて目を輝かせるアインスタート。新しい物好きな彼にとって、この町よりはるかに色々珍しい物がある王都は最高の場所と言えるだろう。

「楽しみだね♪よし、そうとなれば戻って特訓だ。ふふ、頑張っちゃうよ〜」

「ルシアまたね!」そう言ってアインスタートは戻っていった。教官は初めてアインスタートが自らの意志で来ていることに気づき、驚く。

「とりあえず…よろしく頼むぞ。」

教官が出て行くとルシアはベッドに仰向けになって寝転ぶ。王都…それはルシアの父が召喚士として働く場所だ。

「久しぶりに父さんに会えるかな。」

ルシアも王都行きを楽しみにするのだった。






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