《MUMEI》 町巡りをしたいと言うアルギエルとアインスタートは早々に王都へ繰り出して行った。何をするか分からないアインスタートは多少不安だったが、アルギエルが見張りをすると言うので承諾したのだった。 「主君、如何しましょう。訓練所で訓練いたしますか?」 セルエルは訓練をするようであれば協力するつもりなのだろう。ルシアも予定はなく、父親も始末書があるため邪魔するわけにもいかない。 「うん、そうだね。けど明日から本番だし…ちょっとだけ。」 「なら…これ、使うといい。」 ルナが出してきたのは金属製のかかしのようなもの。どうやら特注品でどれだけ壊してもすぐに直るという、特殊な魔法もかけられているらしい。 「剣士なら…速く斬るの、重要。」 ルナは「がんばれ」と言って元の場所に戻る。戻った先に待機していたのは弓を持った女性で、【月光弓】ロロゥ。ルナの最上級召喚獣だ。 「では、開始します。」 ルシアが離れた所に待機し、付近に誰も居ないことを確認したところで双剣を抜く。魔力の剣が次々と現れ、元の剣を含め14本にまでなった。 斬ったそばから再生していく。が、追撃する魔力の剣が更に斬っていき、再生速度を超えていく。粉々になったところでセルエルが剣を止めると、すぐ元の形に戻った。 「速い…流石」 ルナと弓使いの召喚獣は訓練の手が止まり、セルエルの剣閃をひたすらに見守っている。 小一時間やったところでルシアは寝室として用意された部屋へ戻った。セルエルは先に「用があればいつでも呼んでください」と、言い残し元の世界へ帰っている。 「2人は大丈夫だろうか。」 結局、不安材料のアルギエルとアインスタートは夜遅くまで徘徊していた。 . 前へ |次へ |
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