《MUMEI》

それから遠征部隊の帰還までの間、ルシアたちは街の外周の警備にあたった。下級モンスターの襲撃はあったものの、無事に完遂し、養成所へ帰る日となった。


「ルシアー!今度は俺が行くからなぁー!!」

トーラスはルシアの頭をボムボムと叩きながら笑っている。トーラスの巨体の後ろからルナが近づいてきた。

「これまで…お疲れ。これ、土産だ。」

そう言って紙袋に入ったキラキラした硝子細工を渡す。王都の職人が作った鳥をかたどった置物だ。

「お疲れ様でした。帰路もお気をつけください。」

ノアは相変わらず堅苦しい口調で挨拶する。他にも任務で一緒だった警備隊の隊員たちがたくさん見送りに訪れた。養成所でトップクラスの生徒の大半は王都を始め、主要都市に送られる。警備隊の隊員たちは未来の同僚になるかもしれない、見習い召喚士を楽しみにしている者も多い。



多くの隊員たちが見守る中、ルシアたちを乗せた飛行船は飛び立つ。この直後、王都に最大の危機が訪れるのは誰も予想していなかった。




養成所に帰るとまたたくさんの人に出迎えられた。王都から離れたこの土地は王都の情報も少なく、皆、土産話を期待しているのだ。

「これ、お土産。」
「王都の警備隊は流石としか言いようがないな!」
「綺麗な街だったよ!えと、お城も大きくて!」

ルシアが出した硝子細工のお土産は養成所の応接間に飾られ、他の生徒も見るために訪れたりと反響は凄いものだった。






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