《MUMEI》 王都包囲の情報はすぐに養成所へ伝えられ、町の全域に散らばっていた生徒や教官、そして守衛という召喚士全員が養成所の講堂に集められた。王都救援隊の編成を会議するためだ。 「この町が王都と同じように襲撃されないとは限りません。最低限の守備能力は残すべきですね。」 守衛隊長を勤める男性がそう言うと、養成所メンバーに向き直る。 「町はこの守衛隊におまかせを。養成所の方々は王都をお願いします。」 そして正式な編成が伝えられる。養成所メンバーは全員を王都救援隊に、守衛隊からも数人救援隊へ加わることになった。 守衛隊長をはじめとする守衛隊はすぐに持ち場へ戻り、王都方面の避難民の収容と防衛を開始する。養成所メンバーを中心とした救援隊は飛行船で飛び立った。 空は明らかに敵が多かった。王都に近づけば近づく程、敵の量が増えていく。やがて王都が遠くに見えた頃には無数の飛行系モンスターが飛び交っていた。 「ここまで組織された敵は始めてみたわ…」 カノンが呆然としながら呟く。船にいる人々全員が同意見だった。数匹が群れているのはよくあるが、空と地上からこれだけの数…しかも種類もバラバラのものが来るのは前代未聞である。 「セルエル、アルギエル、アインスタート。大変だけど頑張って。」 ルシアが3人を喚び出す。セルエル兄弟は空を舞い、敵を圧倒する。 「ボクの出番だよね!ふふん、アインスタートサマの実力見せてあげる!!」 劣勢であればあるほどアインスタートは本当の力を出せる。いつもより何十倍もの爆発が敵の群れを襲う。 「ファルティーテ。頼んだぞ。」 炎を纏う戦姫は地上に降り立ち、爆炎をもって敵をなぎ倒していく。圧倒的な不利でこそ燃える性格なのだろうか、戦いを楽しそうにしている。 「レアンさん!とドラゴンさん!」 純白の竜に跨がる漆黒の騎士。竜の咆哮は敵を払い、騎士の一撃は敵を両断する。 教官や生徒も最上級に続けとばかりに次々と召喚を始める。王都内部の部隊と合流するために一点集中で攻撃を開始した。 . 前へ |次へ |
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