《MUMEI》

一方王都内部では全方位を包囲された状況を押し返そうと奮闘していた。警備隊の召喚士や召喚の技術を持つ旅人など、王都全体を総動員して迎撃にあたっている。

城からは骨董品の大砲が配備された。召喚の技術が未発達だった時代のもので、長年放置されていたが火力は充分なものだった。召喚ができない人々は玉込めに勤しんでいる。


「…?敵の数が減ってないか?」

最前線で戦っていたトーラスやルナは違和感を感じた。確かに敵はまだまだ多いが、それでもほんの数分前に比べればはるかに減っているのだ。

「外部から…削ってる…?」

「かもしれねぇが付近の町は敵で覆い尽くされてんだろうし…。遠方の援軍かぁ?」

「どっちでもいい…好機だ。押し返す。」

ルナは次々と門を開く。目には目を、数には数を…なのだろうか。




「あっちは…フェッセンだ!」

空から召喚を行っていた養成所一行は遠くで別の船を見つけた。フェッセン征空団と言う空の警備隊の飛行船が数隻航行しており、そこから召喚された召喚獣が敵を削っている。

「地上に専念したほうがいいだろう。」

フェッセン征空団は文字通り空…空中戦を得意とする召喚士の集まりなのだ。空の敵をそちらに任せ、養成所一行は地上戦に専念しようということになった。




地上戦に切り替えた数分後、セルエルが船に報告のために戻ってきた。

「今回の包囲は1つ覚えがあります。軍師系統…本体に戦闘能力はありませんが、その系統のモンスターは他のモンスターを指揮して戦います。」

セルエルが言うに指揮されればこの規模の戦闘が可能になり、指揮官は一番厚く守られているところに居るという。指揮官が居なくなれば敵はすぐに瓦解してしまうのだそうだ。

空からは敵の密集地など丸見えだった。その中に軍師系統の指揮官がいる。


「総員に告ぐ、敵の親玉はあそこだ、叩けぇー!!」

号令を受けた召喚獣たちは一カ所目掛け、突撃した。





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