《MUMEI》

「フェッセン征空団の団長やってまっす!クレッセルでっす!どーも」

養成所一行が王都に降り立つと、初対面なのか疑う様な挨拶をするフェッセン征空団の団長。金髪に着崩された団服。ニコニコ笑いながら話す糸目の男性で眼鏡をかけている。

「なんかお礼くれるらしいし、いこ!な!」

警備隊の屋敷へと先導しようとするクレッセル。そんな彼の頭をハリセンが直撃。痛快な音が響き渡る。

「団長が失礼しました。副団長のコーネリアと申します。」

白に近い水色の髪を背中まで伸ばしてひとつに束ねている女性、副団長の彼女の肩にはクレッセルを直撃したハリセンが担がれている。



「フェッセン征空団と…ルシアだ!」

しばらくして遠くから声がかけられた。トーラスが遠くから手を振っている。傍らには、ノアとルナやほかの隊員もいる。

「早くこいよー!晩餐会だってよ!」
「遠慮、するな」
「王都防衛の成功を祝うのですから、立役者の皆さんが居なくては成り立ちません。」

警備隊たちに連れられ、養成所のメンバーやフェッセン征空団は屋敷の晩餐会に招かれた。急拵えであったにも関わらず、立派な用意が大広間いっぱいにされていた。翌日から町の復旧に駆り出されるであろう警備隊たちは、ひとときの休息を満喫している。



「じゃあこの辺で帰りますわ。明日には行かなあかんとこありますんでな。」

日が暮れ暗くなった頃、クレッセルが切り出した。そしてルシアとラフェル、カノンが集まっているところにやってきて耳打ちする。

「召喚獣、今度見せてな。教官より強いやろ?ウチ来てくれるんなら歓迎するで。」

「何油売ってるんですか」とコーネリアに再びハリセンで叩かれ、渋々その場を後にする。「またなー」とひらひら手を振りながら大広間を後にする団長に続き、フェッセン征空団が退席する。



真っ暗な空へフェッセン征空団の飛行船が飛び立っていった。



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