《MUMEI》
編入一日目3
自分の席となるところだけを見ながら、机と机の間を通し抜ける。

生徒達からの視線には異物を見るような感情が含まれているようにも思えた。

「なー、俺斎藤流星っていうっちゃけど、天月さんって人見知りなん?」

凛の隣の席の男子が質問してきた。

「いや、そういうわけじゃないけど」

斎藤と名乗る男は簡単に言うと稀に見るイケメンだ。
制服を見事に着崩し、男特有のフェロモンを垂れ流していた。

「ってか、普通にタメで話すんだ。敬語しか話さんと思った」
「はあ…」

だから何?と聞きたくなるようなことを言ってくる。

凛は出来るだけ斎藤との会話をやめたいと考えていた。

ひとつは、クラスの女子からの視線が痛い。

まぁ、モテるのだろう。斎藤を見る女子の目はハートに満ちているのに対し、凛を見る目は殺気混じっている。

そして、もうひとつ。斎藤は凛の一番苦手な人種だ。
不真面目でいかにも女遊びしてますという男子は昔から苦手だった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫