《MUMEI》 編入一日目5「場所わからんっちゃろ?」 「うん。でも学食の場所を教えてくれるだけでいいから」 お願いだから私に関わらないで欲しい。 私を一人にして……… 「天月ってさー、なんでそんな人との関わりを持とうとせんと?友達になろうと思えばなれる奴らもいるってのに」 廊下を歩きながら斎藤がそんなことを聞いてくる。 「それは斎藤君が私に話しかけてきたからじゃない!」 思わずかっとなり、大きい声を出してしまった凛を他の生徒が見、凛は慌てて自分の口を押さえた。 「みんながみんな、お前のことを嫌ってるわけじゃない」 なんでそんな言いきれるんだ… それに友達なんて不必要なものなのに… 「学食着いたけん、一旦 この話はやめるばい」 こんな話、もうしなくていいよ… 学食の中は予想より広いものだった。 規則的に並んだ長方形の白いテーブル。その周りを囲むようにして置いてある六つの丸椅子。 そして、食欲をそそる美味しそうな香り。 「お腹すいた」 午前中が忙し過ぎたためか、自分がお腹を空かせていたことに今頃気付く。 「ここの飯は美味しいっちゃんね〜。俺のオススメはハンバーグかな」 ハンバーグ。それは凛の好きな料理TOP10に入るものだ。 「それにする」 「オッケー。んじゃどっか席に座っとって。俺が買ってくるけん」 「え…?」 「はい!じゃーよろしく!」 そのまま斎藤はさっさと行ってしまった。 前へ |次へ |
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