《MUMEI》
編入一日目6
ハンバーグを買いに行った斎藤をぼーっと眺めると、今更斎藤がモテることを思い知らされる。

すれ違う女子はみんな斎藤に見惚れ、男子は尊敬の眼差しを向けていた。

きっと私の知らない良い所をみんな知っているんだろう。そうでなきゃ、あんなに人気にはならない。

はやく……はやく離れないと…
また、人に依存してしまう。そして、また傷付く…
あの想いをしないために離れないと…

「あーまつき!なんで座ってないとー?」
「え?」

名前をよばれ前を見ると、斎藤がもう戻ってきていた。

「まーいいけど。それよりはよ飯食べよーぜ!」
「うん…あ、ありがとう」
「いーよいーよ」

慌ててお礼を言うと、くしゃりと笑ながらハンバーグを渡してくれた。

「「いただきます」」

学食のハンバーグは和風の味付けだった。それと一緒に白ご飯と味噌汁、ほうじ茶もセット。

「なー天月?さっきはどーしたと?」
「え?」
「めっちゃ暗い顔しとったっちゃけど、なんかあった?」

何故気付くんだろう……
斎藤は踏み込んできてほしくない所までズカズカと遠慮なしに入って来るような気がする。

「べつに」
「相談してよ。友達やろ?」
「違うよ。ただのクラスメイト。私に友達はいない。…………いらない」
「わかったわかった。俺はまだ友達じゃなくていいけん」

まだ………いずれ私と友達になるつもりなのか…

「でも昼ご飯は一緒に食べるやろ?つか、食べる」
「やだ」
「はー。我儘さんですね〜。そーいうところも可愛いけど」

やっぱり………この人は女慣れしている。それだけのコトをしてきたんだろうな…

「ごちそうさま」

いつもより急いで食べたためか、お腹が苦しいが一刻も早くこの場からいなくなりたかった。

これ以上斎藤と一緒にいるとあの日に決めた決心が消えてしまいそうなきがして……

「え!?もう食べ終わったと?待ってよ〜…」

なんか言っていた斎藤を残して凛はそそくさと食堂から出た。

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