《MUMEI》

卒業試験から1週間。卒業すれば寮を追い出されるために、3人は荷物の整理に追われていた。


ルシアはクレッセルと約束したとおりにフェッセン征空団に行くことになった。トーラスに話すと残念がっていたが、「フェッセンとならよく合同訓練とかしてるし、すぐ会えるか。」と笑っていた。


カノンは大掛かりな団体には所属せず、地元の村に帰り、そこの守衛になるという。その地域一帯のモンスターによる被害を0にすると息巻いていた。

ラフェルは王都警備隊に所属することになった。実家には戻らず、警備隊で寝起きするという。



まず初めに、王都警備隊の飛行船がやってきた。カノンは見送りたいと、2人が行くまでは残っている。

「ルシア、カノンまた会おうな!」

熱血漢で、情に厚いラフェルは顔をぐちゃぐちゃにして泣いている。

「ほら、顔拭いてよー。王都ならいくらでも遊びに行けるからさぁ〜」

カノンから渡されたハンカチは、あっという間にびしょ濡れになった。

「王都に寄ったときはちゃんと顔出すからさ。ほら荷物載せ終わったよ。」

ルシアはラフェルの荷物を飛行船に積み終わり、自分のハンカチをラフェルに渡す。ハンカチをお守りにすると言って聞かないラフェルを船に乗せる。飛び立つ飛行船、ラフェルは船からずっとハンカチを振っていた。



「お迎えにきたでー」

クレッセルが直々に迎えにきたのは、ラフェルが王都に向かった数日後だった。他の団員は別の町で作戦中らしい。

「カノン、またね。」

「またねぇぇえ」

今度はラフェル程ではないものの、カノンが泣いている。フェッセン征空団は各地を旅しているため、いつ会えるかわからない。

「大丈夫やて。ウチらは主要都市より辺境地のがおること多いし。」

クレッセルがカノンを宥める。折角だからとカノンも村に送っていくという。2人は船の上では昔話をしていた。初めて養成所に入ったときのこと、召喚に成功したときのこと、話は尽きない。


村にカノンを降ろしてクレッセルの運転する船は、フェッセン征空団の皆が待つ町に着く。新たな仲間と共に征空団での生活がはじまるのだ。






前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫