《MUMEI》
ハサミよハサミ
「あなたも強情な人ですね。たかがハサミじゃないですか。貸してくださってもいいじゃないですか」クマは強気に宣った。
「いやなものはいやだ。ハサミなんてどこにでも売ってるだろ。わざわざ俺のハサミに執着する理由がわからない」
「わかりました…」
青いクマは顔を真っ赤にしながら少し助走をつけて体当たりしてきた。ドスーン。
右肩が少しだけ痛い。
「わかっていただけませんか?」「わかったよ!貸してやるよハサミ。ちゃんと返してくれよ」
僕はハサミをクマに手渡した。
「ありがとうございます。きっと返しに参ります。ご無礼をお許しください。ではっ」とクマはフスマを勢いよく開け、押し入れの中に突入していった。

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