《MUMEI》

とある町に駐屯していた、征空団本隊に帰ったのは深夜のことだった。メンバーのほとんどは寝てしまっており、コーネリアとユーリが出迎えてくれた。


船を操縦し続けたクレッセルには疲れが溜まっており、早々にユーリに運ばれ部屋に入っていった。クロウも朝は起こさなくていいと告げ、自室に消えていく。



「今回はありがとう。」

コーネリアはクロウを見送ると、近くにいたルシアにそう言った。生活能力皆無の問題児たちのことだろう。

「…いえ、大丈夫ですよ。けど、驚きました…。講演が始まると人が変わったみたいで。」

「あぁ、いつもそうなんだよ。戦いとかそういうことになると血が騒ぐんだろうね」




コーネリアはそれから昔語りをしてくれた。

クレッセルは元々、王都警備隊で働いていた。若くして召喚の腕はトップクラス。戦略を練るのが上手く、重用され、いつしかついた二つ名は『青天の策士』。そんな彼は王都以外の地域を守りたいと志し、フェッセン征空団を立ち上げた。そして現在に至るという。


「私は警備隊時代からの知り合いで、その流れでここにいる。因みにめんどくさがりは昔からでね…。」

コーネリアは苦笑する。昔からの馴染みとはいえ、めんどくさがりには困らされているようだ。

「本当はいい奴なんだ。」


早く寝なよ、と残しコーネリアも自室に入っていく。クレッセルはみんなに慕われる、人望がある。ルシアはそう感じた。




翌朝、征空団は深刻な眠気に襲われていたことは言うまでもない。




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