《MUMEI》

コアを守るベールは堅く、最上級3人でも壊せない。その間にも次々と湧いた敵が、下層へ降りていったり、こちらに襲いかかったりしてくる。

「ルシア、どうする?」

ラフェルが焦りの表情で振り返る。敵は抑えられるものの、コアが壊せなければ意味がない。攻撃すれば確かに手応えがあるが、火力が足りないようだ。これ以上長びけば、他のメンバーにも負担になる。


「召喚獣…。」

新たな召喚獣を喚ぶ他なかった。下の階のメンバーにも超火力が有るか…もしあったとして、彼らが持ち場を離れれば、作戦そのものが瓦解する。セルエルもアルギエルも、ファルティーテですら疲労が見えている。…時間がなかった。


ルシアの背後に虹色の光を帯びた門が現れる。中から現れた青年の背後には二対の翼。金色の髪に、頭の上には、色とりどりの宝石が散りばめられた王冠。

「我を呼んだのは貴様か…」

体の至るところに宝石のアクセサリーがあり、そのことから位の高さが現れていた。

「その様な物、捻り潰せばよかろう…?」

彼が手をかざすだけでコアはひしゃげ、粉々に散る。同じ要領で付近の敵も一掃してしまった。圧倒的な火力、そこらの最上級とは違うオーラ。自信に満ちたその態度は、まさに『王』のようだ。




「アイゼル…様?」

セルエルは膝をつき、頭を垂れる。アルギエルも畏怖の表情で彼を見ている。ファルティーテが特に変わらぬ表情でいるあたり、天界の貴族あたりか。ルシアの予想は半分違った。

「我は天界の王、アイゼル・ゴッテス。セルエルよ、我もこれより同じ主人に仕える身だ。…畏縮するな。」

言われてもなお、動こうとしないセルエルに、アイゼルが無理矢理立たせる。アルギエルも距離は置いているものの、警戒は解いたようだ。付近の敵を一掃した一行は下の階へ下りて行く。





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