《MUMEI》

クレッセルがユーリを抱える形で、一行は下りていく。アイゼルたちのお陰で、他の階層は全て一掃され、皆傷一つない状況だった。ユーリはまだ目覚めないものの、状態は落ち着いている。


塔の外に出るとわんさか居た敵も全て倒され、アイゼルがルシアを待ち受けていた。セルエル達はもう帰ったようだ。他の人々も召喚獣は帰している。フェッセン征空団のメンバーは、クレッセルに駆け寄り、何事かと問い詰めていた。

「これは、えーっと自分の不注意っていうか、なぁ…。ほんまゴメンやて。」

クレッセルはしどろもどろになりながら答えている。ルシアやラフェルも各々の団員の所に集まる。お互いを労い合い、村へと戻った。




ユーリが目覚めたのは2日後、アイゼルは毎日様子を見にこちらにやってきていた。ユーリが目覚めたことを知らされると団長は、部屋に飛び込みまた号泣する。戦っていた所までしか覚えていないというユーリに、経緯を説明するとアイゼルに感謝を伝えていた。

「無事でなによりだ。」

気高い王様といった当初のイメージと違い、面倒見の良い人物なのだろうか。未だ泣き続けるクレッセルと、それを宥めるユーリを目を細めて見ていた。






要塞での決戦を終え、戦士たちは各々の守るべきものの元へと帰る。脅威と化した廃要塞の塔は、その様子を遠くから眺めているようだった。



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