《MUMEI》

寮に戻れば、
そこには蓮華くんが
壁に凭れるように
していた。


「おかえり」


「あっ、ただいま……」


おかえり、なんて
言われたのは
初めてだ。


お義母さんは
仕事が忙しくて
いつも私が
おかえりって
言ってたから


なんだか嬉しい。


「なんでこんなとこにいるの?寒くない?」


なんで外に
いたのかな。

誰か待ってたのかな


「友達、作れそうか?」


いきなり
そんなことを
聞かれた。


「……?うん、皆良い人達だったよ」


「……そうか」


それを聞いて
なんだか優しい表情を
したあと、
さっさと寮の中に
入って行った。


もしかして、
心配してくれた?


蓮華くんには
なんでもお見通し
だもんなぁ。


……おかえりって
言われたときより
嬉しい。


蓮華くんを追いかける
ように
寮に入った。

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