《MUMEI》 助っ人。その2「覚悟は決まったかい?」 小鳥遊晶は不敵に微笑んだ。 「うん。この世界はぶち壊すよ」 「ずいぶん物騒なことを言うね。まぁいいさ。じゃあ説明といこうか」 「ちょっと待った」 「おう?」 制止すると拍子抜けのように目が点になった。 小鳥遊晶の作戦とやらを実行に移す前に、僕はいろいろと考えた。 前の世界の新斗と接触し、叩き起こすだったっけかな?それを確実に成功させるのには、僕だけでは足りない。 対話しても、僕の言葉だけじゃ新斗の心に届かない。 もっと新斗の心を理解している人がいる。 「助っ人ってことかい?残念だけどそれは不可能だよ。他の三人の心の中に佐久間新斗はいない。そもそも全員心が壊れてしまっているんだ。手を借りる以前の問題だよ」 それくらいのことは予想できた。 「だから僕が指名する助っ人は、ミクちゃん達じゃない」 「――――――なにを言って―――――!?まさか、君は何を考えてるんだ!」 心の中を読まれたみたいだ。 小鳥遊晶が取り乱すのは珍しい。その表情を心のカメラで撮り留めた。 「こんな世界にしてしまった責任を取ってもらうんだ。悪い話じゃないと思うよ」 まっすぐ、小鳥遊晶の目を見る。 動揺は消えていて、僕を睨み返した。 「埜嶋雪美さんに手伝ってもらう」 前へ |次へ |
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