《MUMEI》
Seed...
乗っていた巨人から降りると、傍には大量の雑草が積み上がっていた

彼はごそごそと草の中を探っていた
「あった」
手には紫に怪しく輝く結晶が握られていた
「これが、君を襲った巨人の正体さ」
腰にある短剣を引き抜くと、勢い良く結晶へ突き刺した
ピシッっと裂傷が走り、バラバラに砕けた
「あの……」
「あぁ、色々とバタバタしてすまなかったね、私はスー、春の国の王子だ」
「春の……国?」
私と同い年位の男の子は、自分を指して王子と名乗った
たしかに、高貴な雰囲気を漂わせる顔つきだとは思うけど…
「ははは、ここじゃ話をするのもアレだ、私の国へ案内しよう」
「あ、あの…ありがとうございました、私朝倉ユウヒって言います!」
「知っているよ、アスカという少年から聞いた」
「アスカ君が!?」
リョータ君はどうなっちゃったんだろう…
とにかくアスカ君も無事みたいでよかったと思った

「…とにかく、私の城でゆっくり話を聞くといい、さぁ行こう」
「はい…」

彼に続いて歩き出した時、ふと自分が乗っていた巨人に気が付いた
それはもう巨人ではなく、満開に咲き誇る瑞々しいカエデの木…だった

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